やる気の出ない時には、草を1本だけ抜いてみる気持ちで。
松本真実
Matsumoto Mami
家族で晩ご飯を外食した帰りに、
娘の幼稚園バスの停留所を
通りかかった。
でも娘は先日
幼稚園を卒園したので、
「もうここで
バスに乗ることはないんだね」
と私がつぶやいた。
すると娘が言った。
「えっ、じゃあ今度から
どうやって幼稚園に行くの?」
それを聞いて
私は驚いた。
娘はこれから小学校に通うと
わかっているのに、
幼稚園にも通うつもりでいたらしい。
卒園式っていうのは
幼稚園とお別れする時なんだよとか、
仲良しの子とも
お別れになるねと
話していたのに、
はっきりとどういうことか
わかっていなかったらしい。
そんなわけのわからない
卒園式が終わって、
頭に理解できる隙間が
空いたのかもしれない。
園バスの停留所と
もう乗れないという言葉がリンクして
はっきり理解できてしまった娘は、
「バスに乗りたいーーー!!」と
暴れた。
ひとしきり騒いで、
静かに泣き出した。
こういう時、
気分転換は
夜のお散歩がいい。
泣いている娘を連れて
ゆっくり歩いて
ベンチに座って、
小学校ではどんな楽しいことが
待っているかを話した。
未来を明るいものだと信じてほしい。
これからまだまだ大変なことは
山ほどあると思うけれど、
生きる気力を失わないで
歩いて行ける力をつけてほしい。
そのうち話はだんだん脱線して、
娘はベンチから
転げ落ちそうなくらい
大笑いをし始めたので
少し安心した。
子どもは
大人の理屈通りになんて
まったく生きていないということを
痛感した。
話せばわかるなんて
思ってはいけない。
わかっていなくて当然。
矛盾してて当たり前。
本当におもしろい
子どもの頭の中。
そう思っているだけで、
子どもに
優しくなれるかもしれない。