好きを表現するのがむずかしい
松本真実
Matsumoto Mami
子ども二人を夫に任せて
10年ぶりに一人旅を
することになった。
ホテルに2泊もする。
子どもが生まれてから
ごはんも洗濯も寝かしつけも
日常のことすべてを
自分が担当してきたので、
自分以外の人に任せるなんて
本当に初めてのこと。
「ほんとに行くんだよね??」
出発日が近づくと
不安そうに
何度も聞いてくる夫。
(半分冗談もまじっているが)
私たちには共通して
最も心配していることがあった。
それは娘のアレルギー。
娘は生卵とナッツに
重度のアレルギーがある。
市販の食品の中には、
商品をおいしくするための工夫として
加熱がしっかりとされていない卵や、
粉末状になってお菓子に
ふりかけられているナッツが
たくさんある。
注意していても
うっかり食べてしまうこともあるし、
原材料に記載がないのに
アレルギー症状が出たこともある。
もしアナフィラキシー症状が
出てしまった時のために、
進行を抑えるための
「エピペン」という
自己注射を処方されているが、
この打ち方を病院に
習いに行ったのは、私だけ。
なので夫と一緒に動画を見ながら
「緊急エピペン講習会」を
おこなった。
練習用エピペンを使って
実際娘に打つ真似をしながら、
私は今まで娘の命まで
一人で引き受けていたことに
気がついた。
二人の子どもなのだから、
娘を助ける方法は
夫婦で共有するべきことだ。
日常のいろいろな場面で、
まだまだ私が
「引き受けすぎ」なことは
あるかもしれない。
引き受けすぎていることで
うまくいっていないことも
あると思う。
前向きな意味で、
もっと夫に
協力してもらおう。
そんなことを
考えるきっかけをくれた
一人旅。
滞りなく目的を
達成できますように。