ひとりごと

「子どもは家のカレーが好き」という理想を捨てる

松本真実

何年も作り続けてきたけど
諦めようと思う。

うちの子どもたちは
私のカレーを食べない。

正確には、
がんばって
食べてくれた日もあったし、
残した日もあったという感じ。
給食のカレーは食べているそうだ。

私は料理が
得意ではないのだけれど、
残される度にルーを変えて
試作し、
子どもが一番食べてくれる
ルーを見つけることはできた。

子どもといえば
家のカレーが好きなもんだから、
いつ作って出しても
喜んで食べてくれるカレーを
作らなければいけないと思って、
自分の腕を上げるためにも
ずっと作り続けてきた。

でもこの間、
息子が申し訳なさそうに
つぶやいた。
「じつはカレー、
 あんまり好きじゃないんだよね」

そう言われた瞬間、
申し訳ないのは
私の方だったと気がついた。

子どもはカレーが
好きなものだとか、
私がもっと
うまくカレーを作れば
食べてくれるはずとか、
そんなのは全部
私の思い込みで、
子どもが大人になってから
「お母さんのカレーが好きだった」
とか言ってもらいたいという
私の身勝手な理想だったのだ。

料理に苦手意識があるから
余計に理想が
高くなるのかもしれない。
これは料理以外にも言えること。

できないことにとらわれるより
自分が今できること、
そして目の前の人が
本当に喜んでくれることに
目を向けることが大切なのは
言うまでもない。

必要ない理想は
今日で捨てようと思う。
わが家は
ハヤシライスでいく。
(息子はトマトが大好き)

記事URLをコピーしました