【インタビュー】”お母さん”をお休みしよう〜家事・育児・仕事を幸せにこなすための自分時間の作り方〜

親になって初めて感じる、家事と育児の大変さ。
仕事には決まった休日があるけれど、「お母さん」をお休みするには、家事を減らしたり、人に頼ったりと、まわりと一緒になってお休みする時間を作っていくことが必要です。
ライターとして活動を始めて18年目になる江角悠子さんは、私生活では2児の母。
「anan」「婦人画報」など人気雑誌での執筆や、自身が主宰するライター塾で講師を務めるなど忙しい日々を送る中で、仕事も家のことも無理なくこなせるように、自分の時間を上手に作る工夫をしています。
自分の時間を作ることは心にゆとりを生み、幸せへとつながっていきます。
そんな暮らし方をしている江角さんに、幸せに生きるヒントを教えてもらいました。
「夫に頼むのが申し訳ない」
一人で抱え込んでしまった
家事と育児
会社勤めをしたのちフリーランスに転身した江角さん。
自由に仕事ができるという印象のあるフリーランスですが、働き方にどんな違いがあったのでしょうか。
「フリーランスは、週末をお休みにしようと思えばできるのですが、休日であっても、メルマガや原稿をどう書こうかなということは、常に頭の中にあります。完全に書くことからは離れられず、自然と考えてしまうんですよね。
また、お休みを取ることに不安もあります。とくに産後は長い休みを取ってしまうと、存在を忘れられて仕事の依頼が来なくなるのではないか、という不安がありました。
少しでも仕事関係の人との繋がりを持っておきたかったので、1人目のときは出産から半年後、2人目のときは1ヶ月後に仕事復帰しました」
子どもが生まれるとさらに自分の時間は減っていくばかり。
今でこそ自分の時間を作って過ごしている江角さんですが、お子さんが小さい頃は仕事に加え、家のことをすべて一人で抱え込んでしまったそうです。
「専業主婦だった母を見て育ったせいか、家事育児は母親である私がするものだと思い込んでいました。
そのため夫に家事や育児をしてもらうことが申し訳なく、まったく頼ることができなかったんです。
子どもが夜泣きで起きたときも、早く泣き止ませるようにと言う夫に、手伝ってほしいと頼ることもなく別の部屋であやしたり。
でも2人目の子が生まれたとき、自分だけでは本当に手が回らなくなり、ワンオペは無理だと限界を感じました」
自分一人で「やらなければいけない」とがんばりすぎた江角さん。
ついに肺炎になり、入院することになったのをきっかけに、「ようやく夫に頼れるようになった」といいます。
「一人で育児をがんばることは、子どもたちにもよくないと思ったんです。
イライラしながらご飯を作って食べるより、ちょっとぐらい手抜きしてでも笑顔で食べられる方がいい。
なにより共働きだし、私たち2人の子どもなのだから一緒に育てていこうと、少しずつ私が主張できるようになりました」
子育てのチームメイトに
大変身した夫!
ポイントは、自分が変わること
少しずつ家事や育児を、夫と分担するようになっていった江角さん。
ちょうど世の中がコロナ禍になり、旦那さんが在宅勤務になったことをきっかけに、夕食作りをしてくれることになったそうです。
「夫にはこれまで私がやってきたように、冷蔵庫にある食材を見て、献立を考えられるようになってもらえたら嬉しいな、と思って。『この食材があるから、この料理はどうかな?』とアドバイスすることから始めました」
今まで外で働くことをメインにがんばっていた旦那さんが、毎日夕食を作る家事を習慣にしていくのは、並大抵のことではありません。
それでも江角さんのサポートを受けながら、根気強く続けてくれた旦那さん。
今では家族4人分の夕食作りを完璧にこなせるようになったそうです!
一見、旦那さんを変えていったように思えますが、そうではないと江角さんはいいます。
「私が変わっていったんです。夫に頼んでもいいと思えなかった自分の意識を変えて、自分が動いたことは、本当によかったと思います。
夫はとても頼もしいですよ!私が仕事でいないときには子どものご飯を作ってくれたり、子守をしてくれたりする。一緒に子育てをするチームメイトになったんです」

美しく重ねられた白菜と豚肉を見ると
「私より料理がうまいんですよ!」という
江角さんの言葉にも納得です!
静かな時間と、動く時間
バランスよくリフレッシュ
江角さんは家事の時間を減らすだけではなく、積極的に自分の時間を作る工夫もしています。
日常の中で大切にしているのが、早朝。
「子どもたちや夫がまだ起きてこないうちに、瞑想をしています。私の好きな時間です」
10分ほどの間、静かに座って瞑想していく中で、頭がスッキリと整理されたり、たくさんの気づきを得ることも多いそう。
そしてお母さんモードをオフにして、週に一度受けているのがダンスレッスン!
3年前から、韓国のアーティスト・BTSにどっぷりハマり、人生に革命が起こったという江角さん。大好きな曲の振り付けを、仲間と一緒に練習しているそうです。
「『Permission to Dance』という曲の完コピを目指してるんですよ!」
初めてダンスを披露するイベントが間近に迫っており「大丈夫かなあ(笑)」とちょっと心配そうな表情も。
毎日配信しているメルマガでは、振付をブラッシュアップするためにマンツーマンレッスンを始めたことなど、楽しみながらダンスに励む様子が書かれています!
日常の中では「静」
習い事では「動」
忙しい中でも自分らしくいられる時間を上手に作る、バランスのよさが伝わってきます。

まさに「お母さんモードオフ!!」な
最高の一枚。

自分の時間を作ることで
人に優しくなれた
子どもたちが大きくなった今、日々の家事は家族みんなでやっているそう。
中学3年生の長男は、お米を炊くことを担当。小学3年生の長女は、洗濯物畳み。
「我が家では、小学1年生になったら家の仕事をすることになっています。
息子には『炊いてなかったら明日のお弁当のごはんないよ!』と冗談を言いながらやってもらっています(笑)」
お母さんが一人で頑張ればいいわけではなく、家族は一つのチーム。
だからこそ、みんなで協力しあっていく。
そんな風に江角さん自身が考え方を変えて、行動した結果生まれたのが、自分を整えるための時間。
自分時間を作ったことは、仕事にもプラスになったといいます。
「以前は仕事に追われているという感覚でした。心に余裕がないと嫌な自分が出てしまって、そんな自分にまた自己嫌悪してしまうという、負の連鎖。そうすると仕事が楽しくなくなってきてしまうんですよね。
今は家族で家事を分担したり、そのおかげで空いた時間に瞑想やダンスレッスンなどをする。そうやって自分の時間を作ったことで、心に余裕が生まれて、前より人に優しくなれたような気がします。
今は前よりもゆとりを持って、自分のやりたい仕事を追いかけられるようになりました」
江角さんはよく「自分の人生を企画する」ということを発信しています。
ライターという仕事をする中で江角さんが身に付けた企画力。
「それを人生にも応用するといい」と言うのです。
つまり自分が幸せになるためにはどうしたらいいかを企画して、動く。
お話を聞いていて、まさにこういうことだと感じさせられました。
お米を炊くという大事な仕事を任されているお兄ちゃん。
先日遠方の高校に合格し、なんと春から寮生活を送ることに!
家族4人で一緒に過ごせる時間があとわずかになった今、江角さんにお気持ちをうかがうと、心からお子さんのことを大切に思っている言葉が返ってきました。
「さみしいというより、嬉しい気持ちの方が大きいですね。
私にはいつも、自分がいいお母さんでいられているかな、という不安がありました。
だから寮生活の中で『みなさんにいろいろなことを教えてもらっておいで!』という、前向きな気持ちで送り出したいです。
息子が家にいる残りの時間は、貴重な時間です。家族で一緒に食事をすることを大事にしたいと思っています」
(企画・取材・執筆 松本真実)

ライター歴18年のノウハウと、幸せに生きるためのヒントを学べる全6回の講座。
普段はオンラインで、最終回は対面で行い、プロフィール写真撮影会も!

たくさん詰まった江角さんのエッセイ。
まじめであるが故に
生きづらさを抱えている人を丸ごと認めて、
後押ししてくれる優しさがある。
江角悠子さん著
「文章を書いて、生きていきたい」
「わたしは、まじめちゃん。」



エッセイスト・ライター
江角悠子
えずみゆうこ/
京都在住。
「anan」「婦人画報」などの人気雑誌やさまざまなWebメディアで執筆中。
同志社女子大学非常勤講師。
書籍「亡くなった人と話しませんか」
(10万部突破)
「星のビブリオ占い」構成担当。