樹木葬とは?メリットとデメリットをわかりやすく解説

樹木葬が注目された理由
近年、生きているうちに遺産相続や持ち物の整理などをして、遺された家族に負担をかけないようにする「終活」に取り組む人が増えています。
墓石を撤去して墓地の管理者に返却し、ご遺骨を別の場所で供養する墓じまいへの関心も高まっており、その際、ご遺骨の新しい納骨先として永代供養ができる樹木葬が注目されるようになりました。
そこで樹木葬について詳しく解説し、どのような方に向いているかや、選ぶ際のポイントをご紹介します。
樹木葬とはどんなお墓?
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標とするお墓のことです。墓標として植えられた樹木はシンボルツリーと呼ばれ、桜やハナミズキ、ヤマツツジといった日本人に馴染み深い樹木が使われます。
ご遺骨が埋葬されるのはシンボルツリーの周り。亡くなった後に自然の中へ還っていくことを望む人に向いており、ここ十数年で広がりを見せた新しい埋葬方法です。
樹木葬の種類
〜埋葬される環境の違い〜
里山型
【環境保護にも役立つ自然墓地】
里山型は、山林を墓地として利用する埋葬方法。墓地として定められた区域で、自生する樹木の周りに埋葬する場合と、シンボルツリーを新しく植えて埋葬する場合があります。
都市部から離れた交通の便がよくない場所にあることが多いですが、墓地としての開発が必要ないため環境保護にも役立ち、自然回帰に最も近い形の樹木葬です。
公園型
【都市部にある緑地のような墓地】
公園型は、樹木や草花がある公園のように整備された墓地に埋葬する方法。1本のシンボルツリーの周りに複数のご遺骨が埋葬される場合と、埋葬ごとに1本ずつ樹木を植える場合があります。
都市部にあるため交通の便がよく、手入れの行き届いた墓地のためお参りがしやすい環境と言えるでしょう。
樹木葬の種類
〜ご遺骨の埋葬方法の違い〜
樹木葬で大切にされているのは、ご遺骨を土に還すという考え方です。
ただ、亡くなった方やご遺族の希望に合わせ、埋葬方法を選ぶこともできます。
合祀型
ご遺骨を骨壷から取り出し、他の方のご遺骨と一緒に埋葬する方法。1本のシンボルツリーを中心に埋葬され、複数の家族がそれぞれお参りするイメージです。
個別に埋葬するよりも経済的な負担が軽くなります。
共同型
ご遺骨を骨壷から取り出さず、1つのスペースに共同で埋葬する方法。お参りのイメージは合祀型と同じですが、ご遺骨が他の方と混ざらないため、心情的に故人に向き合いやすいことが特徴です。
多くの場合は一定期間が経過すると合祀型へ移されたり、あらかじめ土に還りやすい素材の骨壷や骨袋を使って埋葬されたりするため、いずれは他の方のご遺骨と混ざることになります。
個別型
骨壷に入ったご遺骨を個別のスペースに埋葬する方法。個人や家族のほか、友人やペットと一緒に埋葬できるタイプもあります。
一定期間後に合祀型へ移される場合や、土に還りやすい素材の骨壷や骨袋を使い、ご遺骨の場所を移すことなくそのまま土へ還すことができるようになっている場合があります。
墓石と樹木の違いはありますが、従来のお墓と同じようなスタイルでお参りできる埋葬方法と言えるでしょう。
樹木葬のメリット・デメリット
樹木葬のメリット
・継承者が必要ない
・宗教、宗派を問わず利用できる
・一般的なお墓より費用がかからない
ご遺骨を自然の中へ還す考え方である樹木葬は、個別のお墓を必要とせず、永代供養となります。
そのため子どもが遠方にいてお墓参りがむずかしい場合や、夫婦両家のお墓を守っていくことが負担になる場合などに適しており、基本的に宗教、宗派を問わず埋葬することが可能。
また墓石にかかる費用を抑えられることもメリットです。
樹木葬のデメリット
・お墓参りの実感がわきにくい
・家族からの理解が得られにくい
・ご遺骨が取り出せない場合がある
・樹木が枯れたり倒れたりする場合がある
樹木葬は墓石がないため、お墓参りをしている実感がわきにくいことが考えられます。
代々継承していく従来のようなお墓を望む方が家族の中にいると理解が得られにくい場合があり、埋葬後にお墓の場所を変えたいと思ってもご遺骨を取り出すことがむずかしいこともデメリット。
また樹木が枯れたり、台風や落雷で倒れたりすることもあるため、お墓の景観が変わってしまう場合があることも視野に入れておく必要があるでしょう。
多様化する埋葬の形を知って
理想のお墓を実現
樹木を墓標とする樹木葬ですが、墓石のよさを取り入れることもできます。それは亡くなった方の名前や家紋、メッセージなどを、従来よりも小さい墓石に刻むこと。
お墓に眠る家族の存在を目に見える形にすることで、より気持ちを込めて亡くなった方を偲ぶことに繋がります。
埋葬の在り方が多様化する現代ですが、それぞれの特徴を知ることで、理想のお墓を見つけるきっかけになるでしょう。