ひとりごと

わたしは「おしゃれ」じゃないといけないのか?親の呪いからの解放

松本真実

話を振られた時や
意見を求められた時、
私は意外となんかかんか
適当に考えて話せる方だ。

それが先日かなり珍しく、
何にも思い浮かばないことがあった。

今受講している
京都ライター塾で、
「自分が好きな⚪︎⚪︎について記事を書こう」
というテーマの時だ。

お店や物など
自分のお気に入りを人に紹介しながら
記事の書き方を勉強しようという
課題だったのだけれど、
びっくりするほど
自分の好きなものが
思い浮かばなかった。

ほかのみんなは
好きな雑貨屋さんや、
美味しいスイーツのある
素敵なカフェを挙げて楽しそうに
「これについて書きます!」と
言っている。

みんなめっちゃ、おしゃれだ!

私はと言うと
子どもが生まれてからここ10年ほど、
節約だけが生き甲斐みたいに
過ごしてきた。
お金を使う時は子ども優先。
「もう少し服を買ったら?」と
夫に心配されるほど
自分の物を買わなくなった。
カフェにもほとんど行かない。
みんなと比べて、
おしゃれとは程遠い
節約主婦になっていたことに気づいて
けっこう衝撃を受けたのだった。

「みんなそれぞれ
 自分のお気に入りの
 おしゃれなものがあって
 うらやましいです」

講座終わりの雑談の時間に、
感じたことをみんなに話した。

「私なんて子ども服の
 西松屋くらいしか
 よく行くお店が
 思いつかなくて」

その時、講師の江角悠子さんに
核心をつく一言を言われた。

「まみさんは
 おしゃれじゃないと
 いけないんですか?」

ハッとした。
そして咄嗟にこう返した。
「いやー私、昔から
 服のセンスが無いとか
 ちゃんとお化粧しなさいとか
 周りからすごく言われるんです」

これは本当のことで
私は小さい頃から母や祖母に、

なぜそんな
流行でない服ばかり着るんだ
スカートをはきなさい
明るい色の服を着なさい
あなたと違って
妹はセンスがいい

ひたすらこう言われ続けてきた。
それで素直に、

おしゃれじゃないといけないんだ
私が選ぶ服は全部ダサい

そう思って
コンプレックスと共に成長してきた。

会社の先輩や友人にも
同じように言われることがあって、
センスがいいと言われる妹が
ずっとうらやましかった。

昔も今も、
おしゃれな人を
うらやましがってるのは確かだ。

そこでまたしても江角さんの
鋭いツッコミが入った。

「そんなふうに言ってくるなんて
 余計なお世話すぎますよ」

またまたハッとした。
本当にびっくりした。
こんなふうに言ってくれた人は、
今までいなかった。

確かに、
人の服に対してセンスが無いとか
余計なお世話すぎるよな?
自分だったら絶対言わないよな!?
あまりにも昔から
刷り込まれていたことだったので、
余計なお世話だなんて
まったく感じていなかったことに
驚愕した。
もはや
呪いにかかっていたレベルだ。

そんな私なので、
無意識に自分の「好き」を
全否定して生きてきた。
お金が貯まる節約にしか
価値を見出せなくなった結果、
ライター塾の課題の中で
自分の好きなものが
何も思い浮かばなかったとしても
それは当然かもしれない。

では私は、
おしゃれな人をうらやみながら
おしゃれになりたいと
思っているのか?

答えは、「思っていない」だ。

私が服を選ぶ基準は
洗いやすいかどうか。
毎日着たいのは
Tシャツにデニムパンツ。
繊細な素材はできるだけ避けたい。
地味で洗いやすい
かっこいい服が好きだ。

コーヒーが大好きなので
たまにはカフェにも行くけれど、
家で豆を挽いて
部屋着で飲むコーヒーが
一番満足できる。
豆もスタバとか専門店とか
凝ったものではなくて、
どこのスーパーでも売っている
UCCの豆が口に合うのだ。

おしゃれじゃなくていい。
こんな私の「好き」の価値観を、
この気づきをきっかけに
もっと認めていきたいと思う。
そう考え始めた今、
すごく幸せな気分が続いている。

この気づきをもたらしてくれた
江角さんに、
本当に感謝したい。

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