ひとりごと

カオスなスナック

松本真実

今日は
夫のお父さんが
経営している
小さいスナックへ。

お父さんは人が大好きで、
みんなが集まれる
場所を作りたいと
10年も
お店を頑張ったけれど、
万年大赤字で
ついに来月
閉店することになったそうだ。

今日の昼間は
お客さんがおらず
貸切状態。
息子と娘はカウンター裏に
入れてもらって
マスターとママ気分でお手伝い。
カウンターで宿題もして、
カラオケ開始。
大人になってから
「そういやじいじ、
 昔スナックやってたな」って
思い出してくれるかな。

客層は幅広い。
息子は1歳から
お店に来ていたし、
常連さんの中には
90歳近い方もいる。

その場に居合わせた
お客さんが
順番に歌い、
お互いの曲を聴き
体をノリノリで揺らす。
1サビ終わるごとに
拍手で盛り上げる。

美空ひばりから
アンパンマンまで
なんでもあり。

昭和歌謡は
人と人との切ない関係を
言葉にしたものが多くて、
歌詞が深いなと感じて
思わず
「誰の曲ですか?
 何というタイトルですか?」
と聞いてメモすることもある。

反対に若い世代が
早口で流れるような
最近の流行曲を歌うと
「はああ、
 今のは歌かね!?
 よく歌えるね、
 何言ってるか
 わからんね!」と
年配の方がもれなく驚く。

ある時は
私が歌うJポップに合わせて
90歳のおばあちゃん2人が、
拍手のタイミングを
逃すまいと
両手を構えて
ノリノリになっている姿が
もう本当に
可愛らしかったことがあって
忘れられない。

年齢は関係なし。
歌ったり呑んだり宿題をやったり。
集う楽しみを共通点にした、
時代も人もまさにカオスな空間。
この空間を作ってくれた
お父さんに感謝。
なくなってしまうのが惜しい。

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